お墓の生前購入による節税対策
近年、テレビや雑誌等で「終活(しゅうかつ)」が話題となっています。
そんな中、自分が入るお墓を生きているうちに準備する「お墓の生前購入」は、相続税の節税対策としての効果が少なからずあります。
お墓や仏壇などは、不動産や預貯金のような相続財産とは異なり、相続税がかからない財産です。
例えば、1,000万円の預金をもっていた場合、100万円のお墓を相続発生後に相続人が購入した場合には、1,000万円に対して相続税が課せられます。これに対して、100万円のお墓を生前に購入していれば、900万円に対して相続税が課せられます。
大きな節税効果ではないかもしれませんが、残るご家族への負担を減らすという面からもメリットがあります。
ただし、骨とう的価値があるものや、商品・投資用として所有しているものには、相続税がかかりますので注意が必要です。
- お墓の生前購入による節税対策
1.お墓は祭祀承継財産
位牌や仏壇等の祭具、墓石、墓地等を祭祀承継財産といいます。祭祀財産は、一般の相続財産とは異なる承継方法が定められています。
一般の相続財産は相続人の共有財産として承継されますが、祭祀承継財産は祭祀主宰者へ承継されることとなります。祭祀主宰者の決定は、下記に従い決められます。なお、祭祀主宰者は
- 被相続人が口頭または書面により具体的に指定している場合は、その指定された者
- 指定がないときは、被相続人が亡くなった地域や地方の慣習に従う
- 上記により決まらない場合は、家庭裁判所が定める
祭祀財産は相続財産には含まれません。そのため、相続分や遺留分の心配がなく、また、相続放棄をした場合でも祭祀主宰者となり祭祀承継財産を取得することが可能です。
被相続人が祭祀主宰者を指定する場合は、遺言書を作成して定めるケースが一般的です。生前にお墓を購入し、祭祀主宰者を遺言書により指定しておくことで、相続後のトラブルを回避し、祭祀承継をスムーズに行える場合があります。
2.生前に購入するメリット
お墓を生前に購入するメリットは他にも考えられます。
まず、自分で好きなお墓を決めることができます。墓地の場所や墓石の種類などを自由に決められるため、「故郷にお墓をたてたい」「しっかりした墓石にしてほしい」等の希望を実現することができます。
さらに、相続後の負担を減らすことにもつながります。相続が発生すると相続人の方はやらなければならないことが多く、大きな負担となります。そのため生前にお墓の購入を検討することで、相続人の方の負担を少しでも減らすことができます。
また、相続人の方と相談しながら進めることもでき、相続後に購入するよりも時間的、精神的な余裕があるため、相続人の方にとっても納得のいくお墓を残すことができます。
3.生前に購入する場合の注意点
お墓を生前に購入する場合は、下記のような注意点があります。また、寺院や霊園が供養してくれる永代供養という選択肢もあるため、生前にお墓を購入する場合は、一度ご家族と相談されてみるのが良いかもしれません。
(1)ローンで購入した場合、未払金は債務控除ができないため相続対策とならない。
お墓に係る未払金は、債務控除をすることができません。そのため相続税対策を考えるのであれば、現金等で購入することが望ましいです。
(2)お墓の維持管理の負担が発生する。
お墓を生前に購入すると、維持管理の費用が発生する可能性があります。そのため、相続税の節税額より、かえって金銭的な負担が大きくなることも考えられます。なお、お墓の場合は使用権となりますので、不動産取得税や固定資産税は課されません。
(3)公営墓地など、生前に購入ができない場合がある。
墓地や霊園によっては、生前の購入を断れる場合があります。特に公営墓地などは遺骨があることが条件となっていることも多く、事前の確認が必要となります。
相続についてお悩みの方は、ぜひ朝日中央の税理士にご相談ください。
将来の相続税を節税する方法には様々なものがあり、専門的な知識や判断が必要となります。相続に関してお悩みのある方は、相続の専門家である朝日中央の税理士にご相談ください。
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