金融資産相続税評価の基本
1.預貯金の評価
預貯金については、死亡日における残高に、死亡日において解約するとした場合に受け取ることができる利息(税引き後)を加えた金額が相続税評価額になります。
ただし、定期預金等以外の預金(普通預金等)は利息が少ない場合は、死亡日における残高のみをもって相続税評価額とします。
実務的には金融機関から残高証明書を取り寄せて、評価をすることになります。
2.現金(預け金等)の評価
現金については、死亡日における残高が相続税評価額になります。
被相続人の財布、カバン、机の引き出し等にあったものは当然すべて含みます。
死亡日における残高と記載しましたが、例えば死亡日の直前に相続人が葬儀等に備えて出金した場合、そのお金を相続発生までに使用していなければ、使用していない部分も現金(もしくは預け金等)として、死亡日の残高を相続税評価額として財産計上することになります。
死亡直前でなくても、足腰がわるくなり、しばらく現金の管理を任せていたような場合でも、同じようにその現金の死亡日の残高を現金(もしくは預け金等)として財産計上することになります。
3.上場株式の評価
上場株式については、死亡日における株式数に、死亡日の株価(若しくは死亡月の終値平均値等)をかけたものが相続税評価額になります。
相続手続きによって売却をした場合の受取額ではありません。
4.投資信託等の評価
投資信託等については、死亡日において解約の請求等をした場合に受け取れることのできる金額が相続税評価額になります。
金融機関発行の残高証明書の記載額から、源泉徴収されるべき金額や財産留保額等を加減した金額をもって相続税評価額とする形となります。
5.ゴルフ会員権の評価
取引相場のあるもの、取引相場のないもの、そして評価をする必要がないものの、3つのものがあります。
①取引相場のあるゴルフ会員権
死亡日の取引価格×70%+一定の計算をした預託金等(返還が可能で、取引価格に含まれない場合に限る)が相続税評価額になります。
②取引相場のないゴルフ会員権
・株主であることが条件の場合
非上場株式の評価に準じて評価した金額+一定の計算をした預託金等(預託金等を預託しなければならない場合に限る)が相続税評価額になります。
・株主であることが条件ではない場合
一定の計算をした預託金等(預託金等を預託しなければならない場合に限る)が相続税評価額になります。
③株式の所有を必要とせず、譲渡できない会員権
預託金等がなく、ゴルフ場施設を利用して、単にプレーができるだけのものについては評価しません。
6.不動産所有権付リゾート会員権の評価
不動産所有権と施設利用権が一体となっているリゾート会員権の評価については、死亡日の取引価格×70%が相続税評価額になります。
7.貸付金債権の評価
貸付金債権の評価については、貸付金債権の元本に支払われるべき利息を加えた金額が相続税評価額になります。
同族会社への貸付金(会社からみたら、役員借入金等)も同様に評価の対象となります。
回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しないという規定がありますが、その判断は難しいものとなります。
単純に同族会社が債務超過となっているだけで、回収不可能等と判断はできません。
そのため、同族会社への貸付金がある場合は、生前に貸付金を放棄するなどしておくことをお勧めいたします。
8.未収入金、未収法定果実、その他の財産の評価
死亡日において、受け取るべきものを受け取っていないものがある場合は、その受け取れるべき金額が相続税評価額になります。
例えば、準確定申告の還付金、介護保険料等の還付金、未収給与、未収家賃、老人ホームへの入居一時金の返還金なども課税財産となります。