株主名簿の整理について
相続について対策をする際、株主名簿を整理する必要が出てくる場合があります。
①「特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書」の認定申請書に添付する書類として「株主名簿の写し」を提出する場合
②名義株が存在する場合
などです。
法人税の申告書の別表2に記載された株主が、実際に株式を所有している株主であれば問題はないのですが、何等かの理由により実際には株式を所有していないが、名目上株式を保有していることになっている方が存在する場合、税務上や手続き上、問題となることがあります。現在では、出資者が1人でも会社を設立することができますが、商法改正前は、7人以上の発起人(出資者)がいないと会社を設立することが出来ませんでした。
そのため、実際に出資はせずに名前だけを貸している人が、株主名簿に複数人いる会社も存在します。税務としては出資をした実質的な株主を株主として取り扱いますので、名義と実質のズレを解決する必要があります。
名義株について
「名義株」があることが判明し、もともと出資した株主に名義を戻すにはどのような手続きが必要でしょうか?
「株主名義変更に関する確認書」を作成する方法
その手続きは大きく分けると2つあります。
まずは、本来の出資者である株主に株式の名義を戻すため、「株主名義変更に関する確認書」を作成する方法があります。
名義株であることを確認する内容を記載した合意書や同意書を作成し、実質上の株主が株式を保有しているよう、株主名簿や別表2を修正します。そして、いつか税務調査などで税務署から株式の名義に変動があった理由を確認された際に、証拠として保管しておく必要があります。
なお、そもそも名義人である株主が配当を受け取っている場合には、名義人が真の株主と判定される恐れがあります。
名義株の判定は出資、配当、株主としての権利の行使などの各視点から総合的に行う必要があります。
出資した時の振込みを確認できる通帳や取引履歴があるとエビデンスとして強力だと思います。取引履歴は銀行に問い合わせすれば結構簡単に取得できます。
「株主名簿記載事項証明書」を発行する方法
次に会社が「株主名簿記載事項証明書」を発行する方法があります。
この証明書を発行するためには、先に述べたように、出資、配当、株主としての権利の行使などの各視点から総合的に行う必要があります。真の株主が判明した場合、真の株主と名義人が共同して、会社に対し株主名義の書換手続きを行います。そして、会社側がその書換について承諾をして、株主名簿が書き換えられれば、この証明書の発行が可能となります。
名義株がある場合、相続対策の一環として、株主名簿を整理しておきたいものです。