収益不動産やタワーマンションの購入を利用した相続税対策
・建物の新築で3割評価減、貸家でさらに3割評価減
家屋を自分で使っている場合の相続税評価額は、その家屋の固定資産税評価額と同額です。固定資産税評価額は、固定資産税の納付書と一緒に送られてくる固定資産税課税明細書に載っています。
これに対し、人に貸している家屋(貸家)の相続税評価額は、その家屋を自分で使っているとした場合の評価額から、その家屋の借家権の価額を控除した金額です。この借家権割合は全国一律で30%と決められています。
つまり、自分で使っている家屋を貸家にすることによって、評価額を3割引き下げることができます。
アパートやマンションを新築して賃貸住宅経営を始めると、さらに評価が下がります。
建物を新築した時の評価額は時価の70%程度ですので、現金が新築物件に姿を変えることによって、評価額がおよそ3割程度下がります。そして、これを賃貸することによって貸家となり、さらに3割評価額が下がることになり、高い節税効果を得られるのです。
・貸家にすると、土地についても15%から21%程度評価減
アパート、マンション、一戸建てにかかわらず、貸家にすることで、その敷地とされている土地も評価が下がります。自分の土地の上に建てた家屋を他人に貸し付けている場合、その土地のことを貸家建付地といいます。
貸家建付地の評価額は、自用地の評価額から、自用地の価額に借地権割合と借家権割合を掛けた額を差し引いた金額です。
借地権割合は地域により異なりますが、だいたい50%から70%です。仮に借地権割合が50%とすれば、それに借家権割合30%を掛けると15%評価額が下がり、借地権割合が70%であれば、借家権割合30%を掛けて21%評価が下がります。
貸家建付地の評価額=自用地の価額-(自用地の価額×借地権割合×借家権割合)
さらに、貸家であれば、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。特定事業用宅地等や特定居住用宅地等に適用する面積にもよりますが、貸付事業用宅地等に該当する宅地として、最大200㎡を限度に、貸家建付地として評価した後の価額について、さらに50%の評価減を受けることができます。
・タワーマンションの購入による節税
相続税評価額は、土地は路線価、建物は固定資産税評価額を基に計算します。一般的に路線価は時価(販売価格など)の約80%、固定資産税評価額は時価(建築費など)の40%から60%程度となっています。タワーマンションは価格に占める土地の割合が低く、建物の割合が高いため、相続税評価額と時価で差が開きやすいといえます。
また、マンションは1棟の建物の中に多くの住戸が入っているため、建物全体の固定資産税を専有面積によって単純に按分して各住戸の固定資産税を計算するため、階数などは関係ありません。
しかし、タワーマンションでは下層階と上層階の住戸の時価に大きな差があり、上層階ほど高い節税効果を得られるといわれていました。
2017年4月以降に売買契約が結ばれ、2018年1月1日以降に引き渡しが始まったタワーマンションの固定資産税の計算方法が見直され、中層階から1階高くなるごとに約0.26%税額が増えるよう調整されましたが、まだ節税効果は高いと言えます。
ただし、今後、さらに厳しい規制が課される可能性もあり、動向に注意する必要があります。