定期金給付契約に関する権利の価額
「みなし相続財産・みなし遺贈財産」の4で説明した、定期金給付契約に関する権利については、既に定期金給付事由が発生しているか否かに応じて、次の1または2の通りに評価されます。
1.その権利を取得した時点で、定期金給付事由が発生しているもの
(1) その定期金(年金)が有期定期金である場合
有期定期金に関する権利は、一定期間を定めて定期金を受け取る権利のことです。
この権利は、次の①~③のうち、いずれか多い金額によって評価されます。
①権利取得時点における解約返戻金の額
②定期金に代え一時金の給付を受けられるときは、権利取得時点の一時金額
③次の算式により計算した金額
なお、年金残存期間については1年未満の期間を切上げて計算し、複利年金現価率については国税庁の公表する「複利表」に掲げられている値を用います。
(2) その定期金(年金)が無期定期金である場合
無期定期金に関する権利は、無期限に(永久に)定期金を受け取る権利のことです。
この権利は、次の①~③のうち、いずれか多い金額によって評価されます。
①権利取得時点における解約返戻金の額
②定期金に代え一時金の給付を受けられるときは、権利取得時点の一時金額
③次の算式により計算した金額
年金給付額の1年当たり平均額 ÷ 予定利率
ただ、このような権利は現実的には存在しないと思われます。
(3) その定期金(年金)が終身定期金である場合
終身定期金に関する権利は、生存中(亡くなるまでの間)に限って定期金を受け取る権利のことです。
この権利は、次の①~③のうち、いずれか多い金額によって評価されます。
①権利取得時点における解約返戻金の額
②定期金に代え一時金の給付を受けられるときは、権利取得時点の一時金額
③次の算式により計算した金額
※余命年数は、年金受給権を取得した年の1月1日現在の完全生命表として厚生労働省により公表されている資料に基づき判定し、複利年金現価率については国税庁の公表する「複利表」に掲げられている値を用います。
(4)その年金が期間付終身定期金である場合
期間付終身定期金に関する権利は、一定期間を定め、その期間内の生存中(亡くなるまでの間)に限って定期金を受け取る権利のことです。
例えば、年金支払期間が10年と定められているものの、年金受取人がその途中で亡くなった場合には年金支給が打ち切られる、というようなものがこれに該当します。
この権利は、有期定期金に関する権利としての価額と終身定期金に関する権利としての価額のうち、いずれか少ない金額によって評価されます。
(5)その年金が保証期間付終身定期金である場合
保証期間付終身定期金に関する権利は、一定の保証期間を定め、生存中(亡くなるまでの間)に限って定期金を受け取る権利で、もしも定期金受取人が保証期間内に亡くなってしまった場合は、保証期間内の残存部分の定期金が遺族等に支払われるもののことです。
例えば、年金支払期間が10年と定められていたところ、5年分の年金を受給した時点でもともとの年金受取人が亡くなってしまった場合に、残り5年分の年金が遺族に支払われる、というようなものがこれに該当します。
この権利は、有期定期金に関する権利としての価額と終身定期金に関する権利としての価額のうち、いずれか多い金額によって評価されます。
2.その権利を取得した時点で、定期金給付事由が発生していないもの(生命保険契約を除く。)
(1)その契約に解約返戻金を支払う旨の定めがある場合
この場合は、権利取得時においてその契約を解約するとしたならば支払われるべき解約返戻金の額によって、その権利を評価します。
(2)その契約に解約返戻金を支払う旨の定めがない場合
この場合は、次の①または②の区分に応じ、それぞれの算式で計算した価額によって、その権利を評価します。
①その契約に係る掛金または保険料が一時払いされた場合
払込済掛金・保険料の額×経過期間(※)に応ずる予定利率による複利終価率×90%
※経過期間とは、掛金または保険料の払込開始時から権利取得時までの期間をいいます。
②その契約に係る掛金または保険料が一時払い以外の方法で払い込まれた場合
払込済掛金・保険料の1年当たり平均額×経過期間に応ずる予定利率による複利年金終価率×90%