未成年者控除
相続の場面では、未成年の孫が代襲相続人となる場合など、まだ若い人が遺産を相続するケースもありますが、未成年者であるからといって相続税が課されない、というわけではありません。
とは言え、未成年者にとっては、将来にわたってまだまだお金が必要な時期に遺産を相続したとしても、相続税の負担が重荷となってしまうこともあり得ます。
そこで、未成年者の担税力への配慮から、未成年者控除の制度が設けられています。
相続または遺贈により財産を取得した者が未成年者であり、下記の適用要件を満たす場合には、その未成年者の納付すべき相続税額の計算上、その者の年齢に応じて一定の金額が控除されます。
適用要件
(1)相続・遺贈により財産を取得した時において日本国内に住所があること(財産を取得した人が一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除く。)または相続・遺贈により財産を取得した時において日本国内に住所がないものの次の①~③のいずれかに当てはまること。
①日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがあること。
②日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがないこと(被相続人が外国人被相続人又は非居住被相続人である場合を除く。)。
③日本国籍を有していないこと(被相続人が外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除く。)。
要するに、相続・遺贈により財産を取得した者が制限納税義務者に該当しないことが要件の1つとなります。
(2)法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
(3)相続開始時において20歳(※1)未満の者であること。
※1.民法の改正によって成年年齢が引き下げられたことに伴い、2022年4月1日以後に開始する相続・遺贈により取得する財産に係る相続税の計算に当たっては、18歳となります(控除額の計算に関しても同様)。
控除額
10万円×(20歳-相続開始時の年齢(※2))
※2.1歳に満たない端数については、これを切り捨てます。
なお、未成年者の納付すべき相続税額の計算に当たり、上記算式により算出した金額を未成年者本人の相続税額から控除しきれないときは、その控除しきれない金額を、その未成年者の扶養義務者の納付すべき相続税額から控除することができます。
ここで言う扶養義務者とは、配偶者、直系血族、兄弟姉妹、3親等内の親族のうち家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった者及び未成年者と生計を一にする者をいいます。
相続人が未成年者である場合の書類作成手続
相続人が遺産分割時において未成年の場合には、遺産分割協議書については、その者の親権者または特別代理人が署名・押印を行う必要がありますが、相続税申告書については、未成年者である相続人の記名・押印をすれば足ります。
特別代理人についての詳細は、「相続人に未成年がいる場合」をご覧下さい。