父の相続で祖父の未分割の財産が発見された事例
「今年の10月に父が亡くなりましたが、父の書類を整理していたところ、30年ほど前に亡くなっている祖父名義のままの山林があることが判明しました。
この山林は、祖父が亡くなった後、父が管理していたようですが、父には姉が1人おり、祖父の相続人間で遺産分割協議が行われたことはないようです。
父の相続税申告を行う場合に、祖父名義のままになっている山林について、どのように扱えばよいでしょうか。父の相続人は私と妹の2名です。」
新たに遺産分割を行う必要もある
この場合、祖父名義の山林が祖父の相続人によって遺産分割されていないために、その取得者が決まっていないのであれば、今後、祖父の相続人(すでに亡くなっている相続人については、亡くなっている相続人の相続人又は包括受遺者)により遺産分割を行う必要があります。
被相続人を父とする相続税の申告期限までに、遺産分割協議が整えば、その遺産分割協議に沿った内容で処理することになり、父が祖父から山林を取得することになれば父の相続財産に加える必要がありますし、父が山林を取得しないのであれば相続財産に加える必要はありません。
被相続人を父とする相続税の申告期限までに、遺産分割によりこの山林の取得者が確定しない場合は、この山林のうち、父の法定相続分に相当する共有部分が父の遺産になりますので、これを相続財産に加えて相続税の申告をすることになります。
被相続人である父の親の遺産が、先代(例えば祖父)名義のままとなっていることは、しばしばあります。
この状況は、祖父名義の財産が①祖父の相続発生時に遺産分割協議が整わず、相続人の共有財産のまま現在も放置されている場合と、②遺産分割協議は成立したが相続登記手続きが行われないまま放置されている場合があります。
先代名義の遺産について遺産分割協議が整っていない場合
①遺産分割協議が整っていない場合には、祖父の共同相続人全員の協議によりその遺産の分割を行うことができます。
この場合、現時点の状況をみて遺産分割することで、課税上有利になるような分割を行うことができます。
例えば、父の相続人が母、長男、長女であり、長男が祖父の養子となっている場合、祖父の遺産を長男が全部取得することで被相続人が父の相続税の納税を最も少なくできます。
しかし、母や長女には不利な分割となるので、相続人間での十分な検討と合意が必要となります。
先代名義の遺産について相続登記が行われてない場合
②遺産分割協議は成立したが相続登記が行われない場合は、祖父の遺産の再分割を行うと、相続人間における贈与があったものとして課税される可能性があります。
また、祖父の相続人が亡くなり、代替わりが進むと、当事者の数が増え、しかも相互に疎遠な関係となり、遺産分割協議をすることが難しくなってくるため、早めに遺産分割と登記を行っておきましょう。
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