上場株式を換価分割して確定申告が必要となった事例
「遺産整理業務を専門家に依頼し、被相続人が証券会社で有していた上場株式は換価して相続人3名が均等に取得する内容の遺産分割協議書を作成し、相続手続きが完了した際に、株式売却の際、売却益が出ているため、相続人は3名とも所得税の確定申告をする必要があると言われました。
相続税については気にしていましたが、所得税の申告まで必要なのでしょうか。」
換価分割とは?
複数の銘柄の上場株式を被相続人が所有していた場合、銘柄ごとに評価額は異なりますし、日々相場が変動します。また、株式は100株で1単元として取り扱うことがあります。この場合に複数の相続人で50株ずつに分けると単元未満株式となって権利行使が制約される場合があります。
このような場合に相続人間で平等になるように分割して相続することは困難であり不経済なので、株式を売却してお金に換えた上でその金額を分割することがあり、これを換価分割といいます。
相続の際、所得税の確定申告が必要な場合
換価する際、被相続人が証券会社に源泉徴収有の特定口座を持っており、その特定口座内で換価できたり、代表の相続人の源泉徴収有の特定口座にいったん移して換価するなどして、特定口座内の源泉徴収のみで課税関係が終了すれば 確定申告は必要ありません。
しかし、遺言執行者、遺産整理業務受任者が一般口座を開設してそこで換価する場合等で、売却価額から取得費、譲渡費用を控除した金額がプラスであれば、譲渡益が生じており、相続した株式を売却して利益を得ていると考えられ、所得税が源泉徴収されていませんので、所得税の確定申告をする必要があります。
代表相続人が売却して換価した場合も、現金化後に各相続人で分配する事が決まっている場合には、その分割割合に応じて各相続人が株式を相続したものとして、各相続人が自身の持分相当額について所得税の確定申告・納税をすることになります。
株式の取得費について
取得費は、相続や贈与などで取得した株式の場合、原則、元の所有者の取得単価を引き継ぐことになりますが、取得価額は、①証券会社等から送られてくる取引報告書 ②証券会社等の顧客勘定元帳 ③被相続人ご自身の手控え等で確認することができます。
取得単価が不明な場合は、概算取得費(譲渡価額の5%を取得費として計算する方法)を使うことになりますが、利益が大きく計算されることが多いため、取得価額を把握できるようにしておきましょう。
相続税の取得費加算特例を忘れずに
なお、売却した相続財産について相続税の負担があった場合には、譲渡所得税の計算の際、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる、相続税の取得費加算特例を使うことができますので忘れないようにしましょう。
取得費加算についてはこちらで詳しくご紹介しています。
お役立ち情報『取得費加算|相続税の特例』▶
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