相続税申告後に新たな財産が発見された事例
「相続人で遺産分割協議をし、相続税の申告書の提出と納税を済ませた後、遺品の整理をしていたら、押し入れから何百万円も出てきた等、新たな財産が発見された場合、どのような対応が必要でしょうか。」
1.遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書は相続人全員の合意により成立し、いったん遺産分割協議が調ったら、その効力は相続発生時にさかのぼって生じることになります。ここで、遺産分割協議後、新たに発見された財産については未分割財産であり、各相続人は、その未分割財産についてのみ遺産分割協議をし、遺産分割協議書を作成することになります。
遺産分割協議書に被相続人の財産のすべてを細かいものまで記載することは事実上困難であり、新たに遺産分割協議を行うために相続人が再度集まり合意をすることは手間がかかるため、当初作成する遺産分割協議書に、「この余の財産は○○が取得する。」などと記載しておけば、原則として、新たに遺産分割協議を行う必要はありません。
ただし、新たに見つかった財産が高額であったり、相続財産全体のかなりの部分を占めるような場合は、この財産の存在がわかっていたら遺産分割協議に合意しなかったと言う相続人も出てくるかもしれません。
遺産分割も他の契約と同様、民法上の法律行為のため、相続人全員の合意があれば、遺産分割のやり直しをすることもできると解されています。
しかし、当初の遺産分割協議書が無効や取り消しとされない限り、各相続人は、当初の遺産分割協議により取得した財産について所有権を有することになりますので、その後になされた遺産分割のやり直しによる再配分は、税務上、各相続人間の財産の譲渡・贈与として、所得税や贈与税、不動産取得税等が課税される可能性があります。
ですので、再度分割協議が必要になってくる財産が出てくることが懸念される場合は、「この余の財産は○○が取得する。」などの記載はせずに、再度遺産分割協議書を作成する方が良いと言えます。
2.相続税の修正申告
相続税の申告書を提出した人は、申告期限内であれば、新たな財産を含めたものに訂正した申告書を提出し、追加の納税をすれば、その申告書は、最初から期限内に提出された正確な申告書として取り扱われます。
申告期限を過ぎている場合は、新たに財産が発見されたことにより、相続税額が増加する人については相続税の修正申告が必要になります。
なお、自主的に修正申告をする場合には加算税は課されませんが、税務調査等で申告漏れ財産が発見された場合は、過少申告加算税や場合によっては重加算税が課されますので、注意が必要です。
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