事業承継税制について
事業承継税制とは、一般に、非上場の株式を保有する会社経営者が、後継者に株式を譲る(相続も含む)場合に、後継者に発生する、贈与税や相続税を基本的には全額猶予(免除)するという制度のことです。当該税制を適用することにより、会社後継者は納税負担なく会社を引き継ぐことができるため、会社を引き継ぐということに対し、心理面でも前向きになることができると考えられます。
また、当該税制を適用する要件は、会社を引き継いで継続して事業を行っていこうとお考えの経営者・後継者の方にとっては、さほど厳しいものではありません。認定支援機関(多くの税理士の先生は認定を受けられています)に相談のうえ、一度検討してみることをおすすめします。
事業承継税制(納税猶予制度)については、会社の株式を生前に贈与する場合と相続で引き継ぐ場合の2パターンにつき定められています
贈与に適用した場合の効用
- 後継者が先代経営者から相続等により取得した対象会社株式(全部)に係る相続税(100%)の納税を、後継者の相続まで猶予することができます。
- 後継者の相続があった場合には、猶予されている相続税の全てが免除されます。
- 贈与から5年以内は多少厳しめの要件がありますが、5年経過すると比較的緩やかな要件のみとなります。
- 最終的には、後継者の相続発生か、さらに次の後継者にこの制度を使って贈与することで、猶予されていた税額が免除となります。
贈与の場合、先代経営者の主な要件は、
- 会社の代表者であったこと
- 贈与直前で、一族で50%超で、一族の中で筆頭株主
後継者の主な要件は、
- 会社の代表者であること
- 贈与により、一族で50%超で、一族の中で筆頭株主となること
- 20歳以上
- 役員就任後3年経過
です。
先代経営者から後継者への贈与は、基本的には先代経営者が持つ株の全株の贈与でなければなりません。
また、先代経営者は、贈与時には代表を退任している必要があります。
そのため先代経営者は覚悟が必要ですが、そうでなければ、事業承継にならないため、この制度の適用は受けられないことになります。
会社は、一般的に中小企業と言われる会社は基本的には対象になりますが、資産管理会社は対象となりません。
そのため不動産賃貸業に関しては、適用が難しい場合が多いです。
贈与の場合の納税猶予のイメージ図は以下のようになります。
相続に適用した場合の効用
- 後継者が贈与により取得した対象会社株式(全部)に係る贈与税の納税を、贈与者(先代経営者)の相続発生時まで猶予することができます。
- 贈与者(先代経営者)の相続により、猶予された贈与税は免除される一方、相続税の計算に加算されることになっています。ただし、そのとき、相続税の納税猶予制度に切り替えて、引き続き納税猶予を受けることができます。
- 贈与から5年以内は多少厳しめの要件がありますが、5年経過すると比較的緩やかな要件のみとなります。
- 最終的には、後継者の相続発生か、さらに次の後継者にこの制度を使って贈与することで、猶予されていた税額が免除となります。
相続の場合の要件は、贈与の場合とほぼ同じです。
相続の場合の納税猶予のイメージ図は以下のようになります。
要件や適用の時期、適用後の流れについては認定支援機関の先生にご相談ください。
もちろん弊事務所も認定支援機関の認定を受けています。
自社株の引継ぎにかかる税金でお悩みの方には十分検討の余地があると思います。